医療・健康情報

 アメリカでは、健康面において特に「予防」に力を入れています。というのも、医療費が非常に高い上、医療保険も高い、もしくはカバー率が悪いため、予防を強化することで、病気にかからず、医療費の出費を抑えようとする傾向があるためです。

 高齢期を迎えてもこれは同じで、たとえ連邦政府が管轄する、65歳以上の高齢者を対象とした医療保険、メディケアがあったとしても、大きな病気をしたときの自己負担金は決して少なくなく、場合によっては医療費のために全財産を失ってしまうことにもなりかねません。ご注意ください。


<健康管理>

 健康は生活の一番の基本です。特に高齢期を迎えると、慢性疾患や大きな病気にかかりやすくなるため、日常からの健康管理が大切です。特に75歳を越えてから大きな病気をすると、体力がぐんと落ちたり、最悪の場合には寝たきりになってしまうことがあります。普段から食生活に気をつけ、主治医を持ち、毎年健康診断を受けるなどして、健康管理に気を配りましょう。

<高齢期に気をつけるべきサイン>

歩行が困難である 立ち上がるときにふらつきはありませんか?最近転んだことはありませんか?
身だしなみがくずれてきた 汚れの多い服を着ていたり、髪がぼさぼさになっていませんか?
食欲が落ちてきた、または異常によく食べる 食事習慣が急激に変わっていませんか?
食品管理ができない 冷蔵庫に腐った食品や賞味期限の切れた食品はありませんか?
運転技術が落ちてきた 最近接触事故を起こしたり、パーキングがうまくいかないことはありませんか?
興味を失う 昔好きだったこと(読書、映画鑑賞など、どんなことでも)に興味を失いつつありませんか?
社交が面倒 お友達や家族と会うことを面倒に思うことはありませんか?
集中できない 物事に集中できなかったり、判断がつけられないことはありませんか?
記憶が弱い 物忘れが激しかったり、突然不安が高まったり、混乱することはありませんか?
薬の飲み間違い、飲み忘れ 決められた薬を定期的に飲むことが難しくなっていませんか?
疲労感が続く 急速をこまめに取っているにもかかわらず、疲労がつづくことはありませんか?
性格の変化 急に怒り出したり、がまんができなかったり、など、急に短気になっていませんか?
郵便の未確認、料金の払い忘れ 郵便を読まなかったり、請求書を払い忘れることはありませんか?
家事ができない 掃除、洗濯、調理など、きちんとできていますか?安全は守られていますか?
<高齢者がかかりやすい疾病>

インフルエンザ
 インフルエンザはインフルエンザウィルスに感染する事により発病します。症状は風邪に似ており、熱、のどの痛み、悪寒、疲労感、関、筋肉痛などの症状がみられます。また、心臓疾患や呼吸困難のある方は、肺炎を起こす危険性があり、重症の場合には死にいたる事もあります。アメリカ合衆国では毎年、約3万6千人の人がインフルエンザで亡くなり、その大半が高齢者です。そのため、インフルエンザの予防接種を受けることが奨励されています。

 インフルエンザウィルスは、大体11月から5月にかけて広まっているといわれ、予防接種は10月から11月に受けることが望ましいといわれています。おこりうる副作用には注射場所の痛み、腫れ、発熱、疼痛などがあります。

 65歳以上の高齢者の場合、州や市が無料で予防接種を行っているところもあります。お住まいの地域の州・市の健康保険局やかかりつけの医師にお問い合わせください。

疾病管理センター
Center for Disease Control and Prevention (CDC) 

1-800-232-4636
www.cdc.gov/flu

<機能回復訓練:リハビリテーション>

 病気で入院したり、長期間体を動かさないと、筋力は落ちていきます。特に高齢者の場合、足の筋力や背筋力などが落ち、場合によっては日常生活にまで影響が出てしまうことがあります。そのため、一度落ちてしまった機能を基に戻すには、きちんとした機能回復訓練、リハビリテーションが必要です。

 リハビリテーションには医学的見地から行うもの(理学療法:Physical Therapy、作業療法:Occupational Therapy、言語療法:Speech Therapy)といった、対象者が受けるリハビリの他、地域社会が取り組むべき社会的リハビリテーション(コミュニティーとのネットワーク作りや生活援助、施設整備など)などがあります。

 ニューヨーク市には、日本語を話す作業療法士、音楽療法士などがいます。日本語でリハビリを受けたい方は、高齢者問題協議会にお問い合わせください。

<メンタルヘルス>

 高齢期を迎えると、職場からの引退、家族や友人の死、病気といった、大きなストレスに直面したり、加齢による身体機能の低下などによって、うつ病にかかったり、不安障害や幻覚妄想状態などの精神疾患にかかることがあります。また、周囲が気がつかない原因で精神的に混乱したり、不安に陥ったりすることもあります。

 心配事が尽きない、夜眠れない、などの症状が続くようであれば、専門家のカウンセリングを受けてみましょう。

精神保健福祉ミニガイド
http://www.med.net-kochi.gr.jp/seishin/mental/index.html
相談受付:日米カウンセリングセンター:212-720-4560

<認知症>

 「メガネをどこにおいたっけ?」「昨日会った人の名前は何だっけ?」−もの忘れは自然な老化によって起こる現象で、誰にでも経験があります。しかし、「認知症」は脳の萎縮や脳血管性障害といった病気のために、記憶・判断力の障害がおこることをいいます。認知症は大きく分けてアルツハイマー病と脳血管障害による認知症にわけられ、それぞれの症状の特徴は以下になります。

 アルツハイマー病 脳内で様々な変化が起こり、脳の神経細胞が急激に減り、病的に萎縮してしまう病気で、原因は不明です。ゆっくりと発症し、徐々に悪化していきます。症状として顕著なのはもの忘れで、初期の段階では古い記憶は比較的保たれていますが、症状が進むと、新しい出来事が覚えにくく、また生活に支障をきたすようにもなります。また、人格の変化(おこりっぽくなる、など)などもみられます。

 脳血管性認知症 脳の血管がつまったり、破れたりすることによって、その部分の脳の働きが悪くなっておこります。そのため、障害に冒された脳の部分によって、「あることはできるけれど、あることはできない」というように、まだら状で障害がおこり、また、記憶障害がひどくても、人格や判断力は保たれていることが多いのが特徴です。症状として、もの忘れ、頭痛、めまい、耳鳴りなどがあり、また、脳卒中の発作が起こるたびに段階的に悪くなっていきます。
認知症は、初期の段階であればリハビリテーションや薬によって、進行を若干遅くすることが可能といわれています。「おかしいな」と思ったら、ぜひ専門医の診療を受けてみてください。

認知症を知るホームページ
http://www.e-65.net

認知症、アルツハイマーについて(英語):
http://www.dementia.com/home.jhtml?_requestid=244522

<リンク>

病院比較(英語)
http://www.hospitalcompare.hhs.gov/hospital/home2.asp

医師の検索(American Medicine Association、英語)
http://webapps.ama-assn.org/doctorfinder/home.html
(注:検索には個人情報の入力が必要です)

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