法律について

「法律」と聞くと、ちょっと敷居が高いように感じられますが、アメリカでは、特に生活に密着しています。家の売買、遺産相続などにおいては、弁護士や税理士など専門家の手を借りないと、二度手間・三度手間となり、かえって多額のお金を費やすことになりかねません。ぜひお住まいの地域において、信頼できる弁護士や税理士をお探しください。
※このウェブサイトで紹介する情報は、あくまでも基本的なものです。州や、個々のケースにより、対応策は異なるため、ご自身のケースについては、弁護士や税理士といった専門家に直接ご相談ください。
遺言(Will)・告別式関連
遺言とは、ご自身が死亡した場合に、不動産、銀行預金、株といった「財産」を誰が受け取るかを書面によって宣言するものです。「遺言」がなくても、共同名義の財産や受取人のいる財産(生命保険、年金プラン、信託銀行口座など)は指定された受益者に残されますが、それ以外のものについては、遺言状がない場合、州の法定相続(Intestacy Statute)によって分配されることになります。基本的には個人との続柄が近い順に相続することになりますが、州の法律、財産の種類などによって異なるのでご注意ください。
以下、米国における遺産相続について簡単にまとめます。しかし、これはあくまでも基本的な情報で、州により、またケースにより異なることがあります。必ず税理士や弁護士といった専門家にご相談ください。
遺言を用意して死亡した場合
・遺言を用意せずに死亡した場合
・配偶者がアメリカ市民の場合
配偶者が永住権の場合
ご結婚されている方は、遺言のあるなしに関わらず、夫婦共有名義の銀行口座をお作りになり、葬儀代+半年間は生活できるだけのお金を手配しておくことをお勧めします。
また、家族や親しい身内が亡くなった場合、残された方は死後の対応をしていかなくてはなりません。亡くなられた方への尊厳が傷つけられることのないよう、また、残された方の負担が少しでも軽減できるよう、高齢者問題協議会では特にNY市に住む皆様のために宗教団体、日本人の利用の多い葬儀社と墓地の簡単なリストを作成いたしました。どうぞご活用ください。
死亡証明書(Death Certificate)は州や市の保険局で発行しています。銀行口座をクローズしたり、葬儀の準備をする際に必要となりますので、複数コピーをお持ちになることをお勧めします。また、ソーシャルセキュリティーオフィスその他への死亡届の提出が必要ですが、葬儀社を使って葬儀を行う場合にはほとんどの場合代行をしてくれますので、そちらにご相談ください。
日本での埋葬を希望する場合
アメリカなど海外で死亡した場合、現地で火葬して遺骨を持ち帰り、日本で本葬するのが一般的です。火葬せず、遺体を直接日本に搬送するには、現地の医師による死亡証明書、日本大使館または領事館が発行した埋葬許可証や、現地の葬儀社が発行する防腐処理証明書などが必要となります。
リビングウィル(Living Will)
遺言の作成時に、ぜひ一緒に準備をしていただきたいのがリビングウィルです。というのも、致命的な病気や怪我などで昏睡状態になったり、脳死になった場合、医師は万が一の訴訟を避けるため、また、医師としての役割を果たすため、生命を維持するための処置(人工呼吸器や経管栄養など)を行います。延命措置や入院費は、短い期間であれば保険でカバーされますが、長期にわたると莫大な医療費が 自己負担となります。
ご自身の命の尊厳を守るため、また希望しない治療を拒否するため、治療の制限を宣言しておくのがリビングウィルです。リビングウィルにサインをした場合、医師は合法的に人工呼吸器、栄養補習、水分補習などの人工的延命措置を切り、自然に死を待つ状態(尊厳死)にします。
5つの願い(Five Wishes)
人生には、自分の手に負えない事がたくさんあります。小冊子「5つの願い」には、「重い病気にかかった時にどのようにしてほしいか」というとても大切な事柄をコントロールするためにお使いいただけます。簡単に記入でき、希望する内容を確実に記述できます。必要事項を記入して署名された書類は、ほとんどの州で有効な文書類として認められています。
小冊子「5つの願い(Five Wishes)」のダウンロードはこちら
ヘルスケア・プロキシー(Health Care Proxy)
致命的な病気や怪我、一時的な意識不明、精神の混乱などで治療に対して自分の意思を伝えられない場合、医療上の決定権をご家族や親しい友人の方に与える委任状です。医師をはじめ、医療機関は委任状を与えられた方の指示に従い、治療の決定を行います。
また、多くの州ではヘルスケア・プロキシーの書式、またはサンプルを用意しています。そこには代理人の指名の他、リビングウィルや治療の希望についても簡単に記せるようになっています。
ニューヨーク州(Health Care Proxy)のヘルスプロキシーはこちら
永住権・市民権関連
●永住権保持者の税金
永住権保持者は市民同様、全世界に持っている財産(不動産、株、預貯金など)に対し、課税されます。また、永住権を保持したまま日本に帰国しても、税法上はアメリカ居住者のため、全所得が課税対象となりますが、「海外役務所得控除(8万ドルまで)」や「外国税額控除」を適用することで、税金を最小限に抑えることができます。
永住権保持者が長くアメリカを離れた後、再入国許可証を取得したとしても、連邦税の申告書を提出していない場合には永住者としての権利を放棄したとみなされる場合があります。ご注意ください。
詳細につきましてはお住まいの地域の税理士にお問い合わせください。
●永住権の更新
永住権は、取得した年にもよりますが、基本的に10年に一度、更新をすることが義務付けられています(更新を忘れても、永住権を失うことはありませんが、更新の手続きが複雑になりますので、ご注意ください)。
●グリーンカードの更新が必要な方へ
グリーンカードの更新には、I-90と呼ばれるフォームを記載し、申請料と共に移民局に申請をする必要があります。詳しくはI-90のインストラクションをご覧ください。
Form I-90 のインストラクションはこちら
米国移民局ホームページ https://www.uscis.gov
●市民権の取得
アメリカで高齢期を迎える場合、遺産相続その他の面で市民権を取得しておくと有利になることがあります。ケースによって異なりますので、詳細については弁護士または税理士にお問い合わせください。
・米国市民権の申請をお考えの方へ
米国市民権を申請するには、N-400と呼ばれるフォームを記載し、申請料と共に移民局に送ります。詳細はN-400のインストラクションをご覧ください。
Form N-400のインストラクションはこちら
A Guide to Naturalization:移民局が作成した情報冊子はこちら
