日本の高齢者社会保障

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日本の高齢者社会保障

1980年代、日本政府は来るべき高齢化社会に備え、「ゴールドプラン」を発表、10年後に再び1990年代に「新ゴールドプラン」を発表し、全国の特別養護老人ホーム、老人保健施設、ケアハウスといった施設のほか、在宅サービスセンターや介護職員(介護福祉士、ホームヘルパー)の大幅増員を行い、2000年度には介護保険を導入、先進国の中でもきめ細かな高齢者社会保障制度を短期間で実現させました。新聞などのメディアでは改善すべき点も指摘されていますが、以前は「姥捨て山」とまで呼ばれた特別養護老人ホームは、地域福祉の拠点となり、また就職率の高さから、介護福祉士、ホームヘルパーを希望する若者や中高年層が増え、日本経済を支える一大ビジネスとして発展しています。

日本の高齢者社会保障は、日本に居住する日本国民ならびに外国人登録をし、日本国内に居住する外国人の両者が対象で、医療、介護共に、保険費を支払えば、国民と同様のサービスを利用することが出来ます。これらのサービスを提供するための資金には、国民や居住者が支払う保険費や利用費の他、多額の税金が充てられています。

高齢者施設・住宅

日本における高齢者専用住宅には、介護・看護を受けられる施設から、自立した高齢者向けのものまで、様々な種類の施設があります。施設によって介護保険が利用できたり、利用できなかったりしますが、有料老人ホームを除き、手ごろな価格で利用することができます。しかし、「便利で低コスト」ということもあり、人気も高く、場所によっては待機者リストに名前を載せ、何年も待たなければならないところもあります。詳細については、お住まいになる地域の在宅介護支援センターもしくは市区町村の高齢者福祉課にお問い合わせください。

医療保険

日本は「国民皆保険制度」を導入しており、日本に住む日本国民、ならびに外国人登録をして、1年以上の国内に滞在する外国人に対し、医療保険に加入することを義務付けています。医療保険には2種類あり、民間企業への就労を通じて加入する保険を「健康保険(組合)」、市区町村の通じて加入する保険を「国民健康保険(市区町村、組合)」と呼びます。現在アメリカで就労もしくは引退し、老後に日本に帰る方の場合、「国民健康保険」に加入するケースがほとんどとなります。

国民健康保険中央会
 https://www.kokuho.or.jp

厚生労働省
 https://www.mhlw.go.jp/index.html

介護保険

介護保険は、2000年に導入された新しい社会保険制度で、それまでの行政主導の「措置制度」と異なり、個人が「保険料を納め、介護が必要になったときに保険給付を受けて、介護サービスを購入する」という、新しい制度です。
介護保険は、40歳以上の日本国民と、外国人登録をし、国内に長期滞在する外国人が加入対象となっており、保険料を納めなければなりません。

介護保険を利用するには、?介護保険費を納めていること(海外在住期間中は支払い義務はありません)、?65歳以上もしくは40歳以上で特定疾患患者か末期がん患者であること、?「介護・援助が必要である」という「要介護認定」を受けていること、の3点が条件となります。

要介護認定の申し込みは、本人もしくはご家族か、お住まいの地域の在宅介護支援センターやデイサービスセンターのケアマネージャーが代行をしてくれます。要介護認定の結果は以下に分類され、任程度に応じて介護保険で利用できるサービスのレベルが異なります。

要援助社会的支援の必要な状態日常生活を送る能力は基本的にあるが、歩行などが不安定。浴槽の出入りなどに一部介護が必要
要介護1生活の一部に部分的な介護が必要な状態立ち上がるときは歩行が不安定。排泄や入浴などに、一部または全介助が必要
要介護2中程度の介護が必要な状態一人で立ち上がったり歩けないことが多い。排泄や入浴などに、一部または全介助が必要
要介護3重度の介護が必要な状態一人で立ち上がったり、歩いたりできない。排泄や入浴、着替えの全介助、食事のときの一部介助が必要
要介護4最重度の介護が必要な状態日常生活を送る能力がかなり低下。入浴や着替えの全介助、食事のときの一部介助が必要
要介護5過酷な介護が必要な状態生活全般にわたって全面的な介助が必要。意志の伝達がほとんどできない場合が多い

施設ケア

介護保険を利用し、施設に入ってケアを受ける場合、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設の3ヶ所で介護保険が利用できます。要介護認定で「自立」もしくは「要支援」と認定された方は、施設に入ることはできません。

それぞれの施設の対象者と特徴は以下の通りです。

名称対象者サービスの内容
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)日常生活に常時介護が必要で、在宅で生活することが困難な方食事、入浴、排泄などの介助、日常生活の援助、機能訓練、健康管理など
老人保健施設病状が安定し、治療よりは看護や介護、リハビリに重点をおいたケアが必要な方機能訓練や看護、介護、医療や、日常生活の援助など。家庭への復帰を目標としている
介護療養型医療施設急性期の治療が終わり、長期のを必要とする方医療、看護、医学管理下での介護、機能訓練や、日常生活の援助など

在宅介護

介護保険を利用し、在宅で介護を受ける場合、以下のサービスを利用することができます。サービスを受ける際には、要介護認定を受けていることが前提となります。*自費の場合はこの限りではありません。





サービスの形態
名称
訪問介護
訪問看護
訪問リハビリテーション
訪問入浴介護
居宅療養管理指導




施設に日帰りで通うサービス
デイサービス
通所リハビリテーション
ショートステイ
福祉用品の貸与
福祉用具の購入費支給
住宅改装費の支給


その他
認知症対応型共同生活介護
特定施設入所者生活介護
ケアプランの計画・作成

■備考:
厚生労働省 介護・高齢者福祉:
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html

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